AI面接を導入する前に、人事が確認しておきたい5つのこと 2026.09.17

AI面接を導入する前に、人事が確認しておきたい5つのこと──世界の活用事例に学ぶ、「効率化」と「見極め」の境界線

AI活用は、人事にとって重要な検討テーマになっています。人材配置、育成、評価、労務関連の情報整理など、人事のさまざまな領域で活用の可能性が広がっています。なかでも採用は、AIを導入しやすく、効果を実感しやすい領域の一つです。候補者対応、日程調整、職務経歴書の要約、面接記録の整理、評価コメントの作成など、AIを活用できる工程が数多くあります。皆さんの組織でも採用プロセスのさまざまな場面でAIの導入を検討されているのではないでしょうか?

そのなかで、近年存在感を増しているのがAI面接です。録画型の質問回答、面接内容の要約、質問案の作成、候補者情報の整理などを通じ、選考のスピードと効率を高めるサービスが広がっています。

面接は、自社での活躍可能性を見極める重要な選考の場ですが、いまはAIが質問を行い、回答を記録・整理し、評価を補助する時代になりました。その変化には大きな期待がある一方で、採用判断までAIに委ねてしまうことには怖さも感じます。

では、AI面接はどこまで活用し、どこからは人が判断すべきなのでしょうか。

AI面接をどこまで活用し、どこから人が判断するのかを考えるうえで、先行している海外の取り組みは参考になります。海外では、AIを採用プロセスの一部に取り入れながら、最終的な判断と説明責任は人が担う運用が中心となり、AIを面接官の代わりにするのではなく、候補者情報の整理や面接準備、確認すべきポイントの提示など、人を支える役割として活用しています。

海外の事例をもとに、AIに任せる業務と、人事・現場が担う判断の分け方を考えてみたいと思います。

海外で進むAI活用の実像

海外の事例を見ると、AIを面接官の代わりとして使うのではなく、人事の判断を支えるツールとして活用する企業が増えています。

AIが得意とするのは、候補者対応、日程調整、リマインド、職務経歴書や面接記録の要約、質問案の作成、面接で確認すべき論点の提示といった定型業務や情報整理です。こうした業務をAIに任せることで、人事や面接官は、候補者の経験を深掘りし、自社との適合性を判断する時間を確保できます。

活用領域AIに任せること人が担うこと
オペレーションの自動化候補者対応、日程調整、リマインド、面接記録の要約候補者体験の設計、個別対応
面接準備・情報整理職務経歴書の要約、質問案の作成、評価の整理、確認論点の提示経験の深掘り、要件との照合
選考判断の支援職務要件との一致度を整理し、確認の優先度や論点を提示候補者の比較、通過・採否判断、例外判断、説明責任

AIによる候補者の優先順位づけは、職務要件と候補者情報を照らし合わせ、確認の優先度を示すための補助情報として活用します。

ユニリーバは、録画型動画面接とアセスメントを活用し、初期選考をデジタル化しました。同社はAIによる候補者回答の分析を含む仕組みを53か国以上で展開し、候補者プールを最大80%絞り込んだ事例を公表しています。

海外の活用例から見えてくるのは、AIに採用判断を一任するのではなく、AIに任せる業務と、人事・現場が責任を持つ判断をあらかじめ分けて設計することの重要性です。

AIには、候補者対応や日程調整、情報の要約、確認すべき論点の提示といった定型業務や情報整理を任せます。一方で、人事・現場は、候補者の経験を深掘りし、自社との適合性を見極め、通過・採否の判断とその説明責任を担います。

ただし、AI面接には、導入前に確認しておきたい課題や懸念もあります。次に、その代表例を見ていきましょう。

表情や話し方を評価するAI面接は、なぜ見直されたのか

AI面接では、候補者の映像を分析する機能に注意が必要です。以前は、表情、視線、姿勢、声の調子、話し方などから能力や適性を推定する仕組みが注目されました。しかし、仕事の能力を正しく判断できるのか、特定の候補者に不利な評価にならないかという疑問が指摘されてきました。

その一例として、米国のHire Vue社は、候補者の表情などの映像情報を採用評価に用いる機能を見直し、2021年にその方針を公表しました。これは、AIが取得できる情報と、採用判断に使うべき情報は同じではないことを示しています。

カメラ映り、表情、声の抑揚、視線、話す速さは、職務で成果を出す力と必ずしも結びつきません。撮影環境、通信環境、障害、文化的なコミュニケーションの違いによって、評価が左右される可能性もあります。

これらを踏まえると、AI面接は導入するだけで採用課題を解決するものではありません。AIに何を任せるのか、何を評価するのか、どこから人が判断するのかを、導入前に整理しておく必要があります。

そこで、AI面接を導入する前に、人事・現場・法務で確認しておきたいポイントを5つに整理しました。自社に合った活用方法を考える際の参考になれば幸いです。

AI面接を導入する前に、確認しておきたい5つのこと

  1. 何を解決するために導入するのか
    応募対応、日程調整、一次面接の負荷、評価のばらつきなど、解決したい課題を具体化します。
  2. AIに何を任せるのか
    AIに任せる業務を工程ごとに決めます。候補者の絞り込みや合否推薦に使う場合は、人が確認・修正する方法まで決定しておくことが重要です。
  3. 評価する内容は、実際の仕事に結びついているか
    候補者の印象ではなく、その職務で求められる行動や能力を適切に捉える評価項目になっているかを確認します。
  4. 候補者に、選考の仕組みを説明できるか
    AI利用の有無、取得情報、利用目的、保存期間、問い合わせ先を、選考前に分かりやすく伝えます。
  5. AIの評価を、人が見直せるか
    AIが低評価とした候補者も人が再検討できるようにします。結果を検証し、運用を定期的に見直す仕組みがなければ、AIは説明できないブラックボックスになりかねません。

まとめ

AI面接導入の目的は、AIに採否を決めさせることではありません。AIは情報を整理し、確認の優先度や面接で深掘りすべき論点を示す。人事と現場は、その情報を踏まえて候補者を理解し、採用判断に責任を持つ。この役割分担が基本です。

AIは判断を速くするために用い、人は判断を正しくするために時間を使う。そうした設計ができて初めて、AI面接は採用を機械的にするものではなく、採用の質を高める支援ツールになります。

SFJNEXTでは、IT活用や採用力を簡単に確認できる無料診断ツールを公開しています。AI活用を検討する前に、まずは自社の採用の現在地を確認してみてはいかがでしょうか?

✎ Profile

Director
竹田 雅美

化粧品会社でPR、商品企画を経験し2007年にSFJに入社。入社後は、流通小売業界や製造業を中心に、マスコミ、ITといった多様な業界でスカウト実績を保有。2021年、SFJ NEXTに立ち上げメンバーとして参画。現在はIT/DX案件を中心に担当。安易なキャリアチェンジを持ちかける紹介会社のスタイルに疑問を感じマーケティングリサーチに基づいた「三方好し」のコンサルティングを心がけている。

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