数多くの人材紹介サービスの中で、自社にとって本当に適したものを見定めるのは、決して簡単ではありません。企業の採用課題や事業フェーズ、採用したいポジション、予算感によって、効果的な採用手法は大きく異なります。
前回の記事では、人材紹介サービスを大きく「登録型」と「サーチ型」に分け、それぞれの特徴についてご紹介しました。今回はその続編として、両者のメリット・デメリットを整理します。
なお前回に引き続き、ここでは人材派遣やアウトソーシング等は除き、いわゆる「人材紹介」に絞って取り上げます。
まずは簡単に、登録型とサーチ型の違いについて振り返ります。
登録型の人材紹介とは、あらかじめデータベースに登録された求職者情報をもとに、人材にアプローチするサービス形態です。主に、転職意向が顕在化している「転職市場」の人材にアプローチする手法と言えます。
一方、サーチ型の人材紹介とは、既存のデータベースのみに依存せず、企業の要件に合う人材を一から調査・発掘し、直接アプローチする手法です。転職活動をしていない人材も含めた「潜在市場」にアプローチできる点が特徴です。
それでは早速、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
登録型・サーチ型のメリット/デメリット整理
| メリット | デメリット | |
|---|---|---|
| 登録型 | ・初期費用がかからず採用活動を始めやすい ・複数の紹介会社・サービスを併用しやすい ・比較的短期間で採用につながる可能性がある | ・採用競合が多い ・アプローチできる人材が転職市場内に限られる ・要求水準を満たす人材になかなか出会えない |
| サーチ型 | ・転職市場に現れにくい人材にもアプローチできる ・専属的な体制で、能動的な調査・発掘を進められる ・センシティブな採用を水面下で進めやすい | ・案件開始時に費用が発生する ・候補者の転職意向を前提にできない ・候補者との引き合わせまでに一定の時間がかかる |
登録型のメリット
登録型のサービスには、以下のようなメリットがあります。
① 初期費用がかからず採用活動を始めやすい
登録型の多くは、求職者が実際に入社したタイミングで紹介手数料が発生する成功報酬型です。そのため、採用活動を開始する段階では大きな費用が発生しにくく、導入のハードルが低い手法です。
採用活動を始める段階で費用負担が発生しにくい点は、登録型の分かりやすいメリットと言えます。
② 複数の紹介会社・サービスを併用しやすい
登録型は、成功報酬型で利用されるケースが多いため、複数の紹介会社やサービスを並行して活用しやすい手法です。
紹介会社ごとに、保有している求職者データベースや得意とする職種・業界は異なります。そのため、複数の紹介会社やサービスを同時に活用することで、各社の得意領域や保有する求職者層を活かしながら、候補者紹介を受けやすくなります。
③ 比較的短期間で採用につながる可能性がある
登録型のデータベースには、転職サイトやエージェントサービスに自ら情報を登録した求職者が存在しています。登録型は、転職に対する関心や意欲がある求職者にアプローチできる手法です。
企業側には「人を採用したい」というニーズがあり、求職者側にも「転職を検討したい」という一定の意向があります。双方のニーズがそろっているため、企業側の要件と求職者側の希望が合えば、選考や入社に向けた具体的な調整に進みやすくなります。
そのため、採用要件に合う求職者と出会えた場合には、選考開始から入社までの調整が進みやすく、比較的短期間で採用につながる可能性があります。
登録型のデメリット
一方で、登録型の人材紹介サービスには、以下のような注意点もあります。
① 採用競合が多い
登録型で出会える求職者は、複数の企業と同時に接点を持っているケースが少なくありません。特に経験やスキルのある人材ほど、複数社の選考を並行して進めていることがあります。
そのため、書類選考や面接に進んだとしても、他社との比較の中で辞退が発生したり、内定承諾に至らなかったりします。転職市場にいる人材へ広くアプローチできる一方で、同じ人材を複数の企業が取り合う構造になりやすい点は、登録型を活用する際に理解しておきたいポイントです。
② アプローチできる人材が転職市場内に限られる
登録型は、基本的に転職サイトやエージェントサービスに登録している求職者を対象とする手法です。そのため、現在は積極的に転職活動をしていない人材や、そもそも転職サービスに登録していない人材にはアプローチできません。
役員、部長クラス、事業責任者、高度な専門職等、転職市場に現れにくい人材の採用では、登録型だけで十分な母集団を形成することは難しくなります。
③ 要求水準を満たす人材になかなか出会えない
登録型では、転職市場にいる求職者の中から、求人要件とのマッチングを行うことが基本です。そのため、紹介数や応募数が一定数あったとしても、自社が求める経験・スキル・志向性を満たす人材に出会えるとは限りません。
特に、特定業界での経験、高度な専門性、マネジメント経験、企業文化との相性等を重視する採用では、母集団は形成できても、最終的な採用決定につながりにくいケースがあります。
サーチ型のメリット
さて、次にサーチ型のメリットを確認してみましょう。
① 転職市場に現れにくい人材にもアプローチできる
サーチ型の大きな特徴は、転職サイトやエージェントサービスに登録していない人材にもアプローチできる点です。
役員、部長クラス、事業責任者、高度な専門性を持つ人材等は、現職で重要な役割を担っていることも多く、自ら転職サービスに登録して積極的に転職活動を行っているとは限りません。
サーチ型では、候補者の経歴や実績だけでなく、所属企業、役割、人脈やリファラル情報等も含めて調査し、こうした転職市場に現れにくい層とも個別に接点をつくることができます。転職活動が本格化する前の候補者にもアプローチできるため、複数社での比較検討が始まる前に働きかけやすい点も特徴です。
② 専属的な体制で、能動的な調査・発掘を進められる
サーチ型では、案件開始時に着手金が発生するケースが多く、その費用をもとに候補者の調査・発掘やアプローチを個別に行います。
登録型は、登録済みの求職者や応募者とのマッチングを中心に候補者紹介を行う手法です。そのため、紹介を受けられるかどうかは、その時点で各紹介会社が把握している求職者の状況や、他社求人との兼ね合いにも左右されます。
一方、サーチ型では、案件開始時から調査・発掘活動に費用と工数を投じ、企業の採用要件に合う人材を能動的に探しに行きます。応募や紹介を待つだけでは出会いにくい人材に対しても、採用機会をつくりに行ける点がサーチ型のメリットです。
③ センシティブな採用を水面下で進めやすい
サーチ型は、求人を広く公開するのではなく、対象となる候補者を個別に調査・発掘し、限定的にアプローチしていく手法です。
たとえば、経営幹部や事業責任者等の要職、後任・リプレイスメントを前提とするポジション、サイバーセキュリティをはじめとする機密性の高い専門職では、採用活動を広く公開すること自体が、社内外に不要な憶測を生む場合があります。また、競合企業や特定企業群の人材にアプローチしたい場合にも、情報の出し方や接触方法には慎重さが求められます。
サーチ型では、採用要件やターゲットに応じて、情報を届ける相手や伝え方を絞りながら進めることができます。センシティブな採用においても、外部への見え方や情報管理に配慮しながら候補者に接点をつくれる点は、サーチ型のメリットといえます。
サーチ型のデメリット
一方で、サーチ型にも事前に理解しておきたい点があります。
① 案件開始時に費用が発生する
登録型では入社時の成功報酬が一般的であるのに対し、サーチ型では案件開始時に着手金が発生するケースがあります。これは、候補者の調査・発掘やアプローチを個別に行うための活動費です。
サービスによっては、面接設定時や採用決定時に別途報酬が発生する場合もあります。
そのため、サーチ型を活用する場合には、採用活動の開始段階から一定の投資が必要になります。成功報酬型の登録型と比べると、初期費用の有無が大きな違いになります。
② 候補者の転職意向を前提にできない
サーチ型でアプローチする候補者は、必ずしも転職活動中ではありません。現職で活躍している人材や、今すぐの転職を考えていない人材も対象となります。
そのため、候補者が企業やポジションに関心を持ったとしても、すぐに選考へ進むとは限りません。サーチ型では、候補者の関心を高めながら、転職を選択肢として検討してもらうために、企業側もポジションの魅力や採用背景を丁寧に伝えていく必要があります。
③ 候補者との引き合わせまでに一定の時間がかかる
サーチ型は、あらかじめ登録されたデータベースの中から候補者を紹介するのではなく、企業の採用要件に合わせて人材を調査・発掘するところから始まります。
そのため、候補者との引き合わせまでには一定の時間がかかります。また、候補者がすぐに転職活動へ進むとは限らないため、採用決定までの期間も見込んで進める必要があります。
まとめ
登録型とサーチ型は、どちらが優れているというよりも、アプローチできる人材市場と採用の進め方が異なる手法です。
登録型は、転職意向がある求職者と接点を持ちやすく、複数の紹介会社やサービスを併用しながら採用活動を進めやすい手法です。一方で、アプローチできる人材は、基本的に転職市場内に限られます。そのため、採用競合が多い職種や要求水準の高いポジションでは、十分な母集団形成や採用決定につながりにくい場合があります。
サーチ型は、転職市場に現れにくい人材に対して、個別に調査・発掘を行いながら能動的にアプローチする手法です。役員・部長クラスや高度専門人材等、通常の求人募集では接点を持ちにくい層にもアプローチできるほか、センシティブな採用を水面下で進めやすい点も特徴です。一方で、案件開始時に費用が発生するケースがあり、候補者との引き合わせまでには一定の時間が必要です。
重要なのは、登録型とサーチ型を単純に比較するのではなく、自社が採用したい人材はどの市場にいるのか、どのような進め方で接点をつくるべきなのかを見極めることです。
次回は、今回整理したメリット・デメリットを踏まえ、実際の採用活動においてどのような場面で登録型・サーチ型を使い分けるとよいのかを解説します。

岩本 春太
大学卒業後、新卒にてSFJに入社。以降一貫して製造業の案件を担当。東証プライム上場企業やニッチトップ企業を含むメーカーの案件を多数手掛ける。技術職のほか、営業、人事、薬事、商品企画等の幅広い職種においてリサーチを行う。2024年よりSFJ NEXTに参画。現在は、公共インフラ業界の案件に携わる。
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