皆さん、こんにちは。
このところ仕事の用向きで西日本に出かけることが2回ほどありましたが、5月初旬だというのに最高気温が30度を超える暑さに見舞われました。普段行かない土地を訪ねるのはいつも楽しいのですが、暑さが苦手なこの身には辛いものがありました。やはり地球温暖化は確実に進んでいるようですね。
さて前回は自社に適した「ITアーキテクチャ」を設計・構築して便益を得ましょうという話をしましたが、IT活用において「攻め」る事ばかり考えていたのでは足元が覚束なくなります。というわけで今回からIT活用の「守り」について書きます。
ご存じの通りITを活用するには経営資源(ヒト・モノ・カネ)が必要です。ITにまつわる経営資源を有効に使うための取り組みを私はITマネジメントと呼んでおり、これが「守り」の一つ目の概念です。ちなみに資源のうち、ヒトはIT人材を、モノはIT機材やシステムを、カネはITに関する費用を意味します。
【ヒト】
ヒトは企業活動に関して本質的に重要な要素ですが、特に昨今の雇用市場を見ても明らかな通り、IT人材の確保は企業にとって重要な課題になっています。その背景には企業経営におけるデジタル技術活用のニーズが増大している割にIT人材が増えていない事情がありますが、嘆いていても誰かが解決してくれるわけではないので自社で対応を考えていく必要があります。
IT人材のタイプ
まずどのような人材が必要なのかを考えてみましょう。ITが経営戦略実行のための重要ツールであることを考えればIT人材に求める資質は技術要素だけでなくビジネス的な要素も必要であることは明らかです。私自身がコンサルティングのお仕事をする際には、上記の2軸で下記のような人材ポートフォリオに基づいてアドバイスすることが多いです。

大雑把に見えますが、IT組織の要員数が多くない(目安として20名以下程度)企業では、この程度の捉え方で人材ポートフォリオを考えた方が現状と課題を可視化しやすいと思います。
ちなみに規模の大きなIT組織を抱える企業ではより詳しい役割に基づいてIT人材を細かく捉えて育成や配置を考えたいニーズもあるので、そのような場合はITSSやITSS+などIPAが公開しているフレームワークを参考するのも良い手なので、是非下記を参照ください。
https://www.ipa.go.jp/jinzai/skill-standard/plus-it-ui/index.html
さらに各人材タイプは、それぞれが初級者から上級者まで様々なスキルレベルの人材で構成されることを考えれば、自社に適したレベルの考え方も明確にしておく必要があります。ちなみにIPAのスキル標準では7段階のレベルを設定していますが、人材タイプ定義のお話と同様で、規模の小さいIT組織では例えば3段階くらいで考えるのがお勧めです。(松竹梅とか上中下とか、企業風土に合った表現でどうぞ)
ここで重要なのは、自社のIT人材に関して現有勢力と今後のニーズを明らかにし、そのギャップ(人材タイプxスキルレベル)を可視化することです。そのギャップが人材補強計画のもとになります。下記は現状7名のIT組織で、経営課題であるDXを加速するための組織強化プランの原型です。

単純化のためレベルの話は割愛していますが、このように目指す姿を設定できれば、それをどうやって実現するかの議論が開始できるであろうと想像できますよね? ⅡとⅣをこなせる人材をどう補強するかが課題です。
採るか?育てるか?
自社が補強すべき人材タイプ・スキルと人数が決まったら次は獲得のための作戦が必要ですが、単純化すると取り得る手段は採用する、現有人材を育てる、の二通りしかありません。多くの会社ではその両方の戦術を併用していると思いますが、前者にはお金がかかるので自ずとどの会社でも欲しいだけ採用できるという状況にはならないでしょう。
また昨今のDXバズを見るまでもなく、Ⅱの人材(しかもスキルレベルの高い人たち)が多くの企業にとって最も重要なことは容易に想像できます。一方で技術・ビジネスの両面において高いスキルレベルを有する人材というのは多くの会社から引っ張りだこになるので、ニーズに対するシーズの絶対数は足りていないのが現実で、採用の困難度は高いです。
また仮に採用できたとしても、その人材が辞めていってしまうリスクもありますよね。何せ引っ張りだこで売り手市場なわけですから。これらの事情を踏まえると、(新規に採った人材も含めて)自社人材がモチベーション高くチャレンジを繰り返して成長する状態を作ることが重要だと言えます。それを実現するのが計画的な育成です。
計画的な育成
育成の基本はIT人材でも他の人材でも同じで、実務経験と座学のスパイラルアップが王道です。個人ごとに目指す到達点を設定し、そこに至るパスを設計します、いわゆるキャリアパスですね。

この例では対象者のキャリアゴールは上級のデジタル変革リーダーで、①~⑤がたどるべきキャリアになります。①の時点で学ぶべき座学の候補を会社が用意し従業員は選択して学ぶ、その時点のジョブアサインメントは上司が初級のオペレーション系業務をアサインしてしっかり鍛える、という流れですね。
各ステージにおいて同様の流れが必要になるため、上司の関与が非常に重要です。人材タイプとスキルレベルの観点から中長期的にどこをゴールにするのか、そのためにどんな職務経験を積ませるのか、その節目節目でどんな座学を学ばせるのか、これらを対象者との対話を通じて上司が親身になって解き明かして計画化する。これしかありません。
今回はITに関する経営資源管理の初回としてIT人材に関するお話をしました。
自社のITに外部パートナーを活用するのは多くの企業で行われており、それ自体は有効な策なのですが、自社内部で確保するべき人材を検討せずにすべてを外部に丸投げするようではいつまでたってもIT活用力は身につきません。是非、中期的視野に立ってIT人材・組織を強化していくことを検討ください。
ちなみに弊社では、IT人材の採用から組織強化支援まで幅広くお手伝いをさせて頂いております。お気軽にご相談ください☺
次回は残る二つの経営資源、モノとカネのお話をします。

村田 すなお
北海道大学卒業後、デジタルテクノロジーを軸にして国内大手精密機器メーカー2社に勤務。新規拠点立ち上げのためのカナダ赴任や事業加速のためのM&A推進などの経験を経て、2014年以降は執行役員として経営全般に関わる。キャリア後半ではCIOとしてグローバルなIT推進全般を遂行、業務システム、ITインフラ、サイバーセキュリティ、AI、DXなどの戦略立案、企画、設計、運用などを指揮。
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