採用を開始する際、“とりあえず”や“なんとなく”で有名な人材紹介サービスを利用していませんか。その結果、長期にわたり採用できていないポジションはないでしょうか。
数多くの人材紹介サービスの中から、自社の採用課題に合った手法を選ぶには、サービスの特徴を知るだけでは不十分です。ターゲットとなる人材の要件やレイヤー、採用に対する方針や投資姿勢、採用上の制約条件によって、適した手法は異なります。
前回の記事では、人材紹介サービスの「登録型」と「サーチ型」について、それぞれのメリット・デメリットを整理しました。今回はその内容を踏まえ、実際の採用活動において、どのような場面で登録型・サーチ型を選択すると効果的なのかを採用シーン別に解説します。
なお、ここでも人材派遣やアウトソーシング等は除き、いわゆる「人材紹介」に絞って取り上げます。
採用手法を選ぶ前に考えるべきポイント
登録型とサーチ型は、どちらかが一方的に優れているというものではありません。あくまでも、各社・各求人のシチュエーションに応じて使い分けることが大切です。手法を適切に選ぶためにも、まずは自社で取り組む採用がどのようなものなのか、以下の観点で整理してみてください。
ⅰ 採用対象が、転職市場に多く存在する層である
ⅱ 自社求人や一般的な登録型紹介サービス経由で、要件に近い候補者の紹介が受けられている
ⅲ 求める経験・スキルに対して、十分な待遇を用意できる
ⅳ 採用活動を公開して進めることができる
ⅴ その他、自社やポジションに候補者を惹きつけられるだけの知名度・魅力がある
これらの項目すべてにYESがつくなら、登録型で進めてよい採用です。費用対効果の観点から見ても、まずは成功報酬型が一般的な登録型で十分です。
一方で、ひとつでもNOがつく場合には、登録型で採用成功に至る前提が整っていない可能性があります。そのまま登録型だけで進め続けると、採用活動が長期化し、重要ポジションの未充足や、事業推進・組織変革の遅れといった機会損失につながりかねません。そうしたリスクを避けるためには、サーチ型の活用も視野に入れるべきでしょう。
つまり、採用手法を選ぶ際には、既存の求人や登録型紹介サービス経由の紹介だけで採用成功に至る見込みがあるのかどうかを見極めることが重要です。
ここからは、上記の観点を踏まえながら、登録型・サーチ型それぞれが向いている採用シーンを見ていきます。

登録型がおすすめのケース
① 複数名・大規模に採用したい場合
若手・メンバークラス等、転職市場に候補者が十分に存在する層を対象に、複数名を採用したい場合には、登録型が向いています。求める経験やスキルが明確で、多くの応募者が見込まれ、複数の候補者を比較しながら選びたい場合は、求人媒体や登録型紹介サービスと相性がよいといえます。
このような採用では、一人ひとりを個別に調査・発掘するよりも、一定の基準を満たす候補者群の中から比較・選考していく方が合理的です。その場合には、登録型を軸に進めることが有効でしょう。
② スピードを重視して採用を進めたい場合
欠員補充や増員対応等、できるだけ早く候補者と接点を持ちたい場合にも、登録型は選択肢に入ります。
登録型は、すでに転職活動を進めている候補者や、転職に一定の関心を持つ候補者で構成される転職市場を対象とする手法です。そのため、候補者と接点さえ持てれば、面接を含む選考プロセスへ比較的スムーズに移行できます。
ただし、早く紹介を受けられることと、早く採用決定できることは同じではありません。求人企業側にも、面接日程の調整や候補者への情報提供まで含めて、スピード感を持って対応できる採用体制が必要です。
③ 候補者に選ばれる魅力がある場合
企業認知度、事業の成長性、ポジションの魅力、年収・働き方等の条件面において、候補者が関心を持ちやすい材料が揃っている場合には、登録型を検討しやすい採用といえます。
求人媒体や登録型紹介サービスでは、企業名や仕事内容、提示条件、働き方等が候補者の反応へダイレクトに影響します。自社やポジションに市場での優位性があり、候補者に伝えやすい魅力がある採用では、登録型の利用で求める成果が得られる可能性があります。
ただし、求人内容や任せたい役割が曖昧なままでは、面接設定や選考継続につながりにくいため、候補者に伝える採用背景やポジションの魅力を整理しておくことが重要です。
サーチ型がおすすめのケース
① 重要ポジションを採用したい場合
経営幹部、部長クラス、事業責任者、次世代リーダー等、採用成否が事業や組織に大きく影響するポジションでは、サーチ型が適しています。こうした人材は現職で重要な役割を担っていることも多く、求人媒体や登録型紹介サービスに登録し、積極的に転職活動をしているケースは決して多くありません。そのため、候補者が転職市場に出てくるのを待つだけでは、採用計画そのものが長期化しがちです。
重要ポジションの採用では、求人への応募や登録型サービスからの紹介を待つだけではなく、自社の事業や組織に必要な人材を能動的に探しに行く発想が必要になります。
② 希少性の高い人材を採用したい場合
特定領域での経験や高い専門性等、求める条件に合う人材が限られる採用では、サーチ型が向いています。
希少性の高い人材を採用したい場合、求人媒体や登録型紹介サービスを利用しても、面接に進めたい候補者が少ない、要件とのズレが大きい、採用決定まで進まないといった状況が起こりやすくなります。このような採用では、登録型のエージェントの数や質を見直しても、同じ市場の中で候補者を探し続けることになりかねません。求める人材が、そもそも転職市場にいない可能性があるためです。
求める人材のスコープが狭いほど、要件に合わせて候補者を調査・発掘するサーチ型の有効性が高まります。
③ 知名度や条件だけでは候補者に訴求しきれない場合
企業認知度や提示できる年収、働き方等の条件面だけでは、候補者に十分訴求しきれない採用では、サーチ型が有効です。
求人媒体や登録型紹介サービスでは、企業名や待遇のみで判断されやすく、知名度や条件面で明確な優位性がない場合には、応募や面接につながりにくいことがあります。
一方で、サーチ型は潜在市場にいる候補者も対象にできる手法です。潜在市場の候補者は、そもそも積極的に転職活動をしている層ではないため、一般的な求人条件だけが判断材料になるわけではありません。そのため、知名度や待遇だけで優位性を出しにくい採用でも、業務内容や任せたい役割、キャリアアップの機会等を提示することで、候補者本人に合わせて訴求できる点がサーチ型の強みです。
④ 非公開で採用を進めたい場合
後任採用やリプレイスメント、未公表の組織変更、セキュリティ体制の強化に関わる採用等、採用背景を外部に見せにくい採用は、サーチ型で進める意義が大きい採用です。
こうした採用では、求人を広く公開すること自体がリスクになる場合があります。求人情報が表に出ることで、社内の既存メンバーや取引先、競合企業に意図しない情報が伝わったり、組織体制や経営上の課題を邪推されたりする可能性があるためです。
サーチ型では、対象者を絞ったうえで、開示する情報や接触のタイミングを管理しながら採用活動を進めることができます。外部に出せる情報が限られる採用や、秘密裡に進める必要がある採用では、水面下で候補者との接点をつくれる点がサーチ型の強みです。
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採用シーンに合わない手法では、採用成功まで遠回りになる
登録型とサーチ型は、必ずどちらか一方だけに絞って考える必要はありません。採用ポジションや採用難易度によって、登録型を優先すべき場面もあれば、サーチ型を選ぶべき場面もあります。採用ポジションごとに登録型とサーチ型の役割を分け、並行して進める判断もあります。
たとえば、若手・メンバークラスの複数名採用では、登録型で転職市場にいる候補者の中から選考母集団を形成する進め方が合っています。一方で、重要ポジションや転職市場に現れにくい専門人材については、求人公開や登録型紹介を待つだけでなく、初期段階からサーチ型で対象者を個別に調査・発掘する判断が必要になります。
重要なのは、最初から一つの手法に決め打ちしないことです。採用したい人材がどの市場にいるのか、採用難易度はどの程度か、採用活動を公開できるのかを見極めたうえで、登録型とサーチ型を使い分ける必要があります。
採用したい人材やポジションに合わない手法を選び続けると、本来接点を持てたはずの候補者と出会えないまま、採用成功まで遠回りになることがあります。登録型で候補者が出てこない、要件に合う人材と出会えない、採用決定につながらない。そのような状況が続いているのであれば、同じ市場で候補者を待ち続けるのではなく、サーチ型も含めて採用手法を見直すことが重要です。
